sora’s おいしいノート

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天候に恵まれた11月8日の皆既月食!天王星食も楽しめました!

運良くほぼ全国的に天候に恵まれた皆既月食でしたが、皆様のところはいかがだったでしょうか。

写真:皆既月食1

2022年11月8日の皆既月食

今回の皆既月食は完全に隠れている時間が1時間26分もあり、部分食の始めから終わりまでだと、実に3時間40分にも及ぶ大天体ショーでした。

写真:皆既月食2

筆者はさすがに最後までは追っかけませんでしたが、十分堪能することができました。

写真:皆既月食3

筆者のカメラは旧型のミラーレスですが、それなりの写真も撮ることができて満足です。

写真:皆既月食4

2022年11月8日の天王星食

今回の月食は同時に天王星食も起こるということで、大きな話題になっていました。

ただ、天王星は約6等という暗さなので、肉眼で確認することは至難のわざ。

しかし今回は皆既月食中の暗い月という絶好のガイドがあるので、40-150mmのズームレンズでも何とか確認することが出来ました。

写真:天王星食1

実際に夜空で天王星を確認できたのは、これが生まれて初めてだと思います。

写真:天王星食2

写真はトリミングのうえ拡大しているので不鮮明ですが、ちゃんと確認できます。

そして20時40分頃。もうすぐ月に隠れます。

写真:天王星食3

この直後に見えなくなりました。

写真:天王星食4

この後、天王星が月から出てくるのは、再び月が明るくなり始めてからだったため、ここで観測を断念しました。

しかし、なんといっても前回は442年前、次は322年後という激レア現象をこの目で見れたのですから感激です。

まとめ

以上、11月8日の皆既月食と天王星食の話でした。

横浜の空では半ば諦めていた天王星食を確認できたのは意外でした。

今回は色々なチャンネルでYouTubeのライブ中継をしていたので、そちらで見た方も多かったのではないでしょうか。

それにしても最近はスマホばかりで、単体のカメラを使うことが減りました。

今回カメラのSDに残っている写真を確認したら、直前が昨年11月の「ほぼ皆既月食」の写真でした…

11月8日(火)の夜は皆既月食!同時に起こる天王星食にも注目!!

久し振りの宇宙についてのお話。明日、2022年11月8日火曜日は、全国的に皆既月食が見られます。

2021年11月19日にも月食がありましたが、そのときは完全には隠れない「ほぼ皆既月食」でした。

写真:昨年11月のほぼ皆既月食

今回は完全に地球の影に隠れる皆既月食で、日本で見られるのは2021年5月26日以来となります。前回5月の皆既月食は天候に恵まれず残念でしたが、今回はどうでしょうか。

そして今回はなんと同時に天王星食も起こるという超レアな現象ということで、大注目の天文イベントとなっています。

2022年11月8日の皆既月食の見え方

今回の皆既月食は、18時9分に部分食が始まり、皆既月食になるのが19時16分~20時42分(なんと1時間26分!)で、部分食が終わるのが21時49分です。

日本全国で発生時刻はどこでも同じですが、月の高さは場所により異なります。月食が起こる18時9分から21時49分までの月の高さは、東京で18.3度から61.0度となっています。

図:「月食中の月の位置(東京の星空)」
図:「月食中の月の位置(東京の星空)」(国立天文台)

各地での見え方について詳しくは、国立天文台暦計算室の「月食各地予報」で調べることができます。

また、以前から紹介しているビクセンの無料スマホアプリ「Moon Book」でも、観測位置を設定して月食の状況を時間を追って調べることができて便利です。

www.vixen.co.jp

2022年11月8日の天王星食の見え方

今回の皆既月食中に、天王星が月に隠れる天王星食が起こります。この天王星食については、小笠原諸島を除く日本全国で見ることができます。

天王星食は、見る場所によって発生時刻が異なります。

東京では天王星が月に隠れるのが20時40分53秒、月から出てくるのが21時22分20秒です。

図:「天王星食(各地の予報)」
図:「天王星食(各地の予報)」(国立天文台)

天王星食についても、各地での見え方については国立天文台暦計算室の「惑星食各地予報」で調べることができます。

ちなみに筆者の済む横浜での天王星食は、月に隠れ始めるのが20時40分38秒で、月から出てくるのが21時21分33秒となっていました。

まとめ

以上、11月8日(火)夜の皆既月食と天王星食の話でした。

今回は見やすい時間帯、見やすい高さの天文イベントなので期待大です。

なお、天王星は約6等と肉眼で見える限界の暗さなので、望遠鏡か双眼鏡が欲しいところ。それでも都会ではなかなか厳しいかも知れません。

しかし、皆既月食と惑星食が重なるのは大変珍しい出来事なので、皆既月食を見るついでに探してみたくなりますね。

ちなみに日本で前回皆既食中に惑星食が起こったのは、442年前の1580年7月26日の土星食だそうで、戦国時代のことです。

そして日本で次回皆既食中に惑星食が起こるのは、322年後の2344年7月26 日の土星食だとか…

今のところ天候は概ね良さそうですが、国立天文台三鷹キャンパスからの中継や、ハワイからの月食ライブがYouTubeで見られるので、万一観測が困難な場合もそちらで楽しみましょう。

www.youtube.com

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【ほぼ皆既月食】雲の切れ間から赤く染まったビーバームーンに感激!

昨日(2021年11月19日)夕方の「ほぼ皆既月食」、皆さんのところでは見ることが出来たでしょうか…

筆者の住む横浜では少し雲がありましたが、運良く雲の切れ間から地球の影に入って赤くなった月を見ることが出来ました。

このところ使う機会のなかった古いオリンパスのミラーレスカメラを久し振りに引っ張り出してきて、なんとか赤いビーバームーンの撮影にも成功しました。

2021年11月19日の「ほぼ皆既月食」の様子

これが17時10分頃の横浜の状況です。地平線近くに雲があり、ぼやけていますが、既に半分以上地球の影に入っていることが分かります。

「ほぼ皆既月食」17:10頃

その後、何度も厚い雲に遮られたりしてヤキモキしましたが…

「ほぼ皆既月食」17:20頃

17時30分を過ぎた頃から次第に雲が薄いエリアに差し掛かり…

「ほぼ皆既月食」17:30頃

18時に近づくにつれてベストな状況になってきました。

「ほぼ皆既月食」17:50頃

そしてこれが最大食の頃です。

「ほぼ皆既月食」18:00頃

期待の大きかった今年5月の皆既月食は、分厚い雲に遮られ全く見ることが出来ませんでしたが、部分日食とは言え、ついに赤く染まった月を見ることが出来ました。

ただ、残念ながら最大食を過ぎてすぐに分厚い雲がかかり、月食観望は終了となりました。

「ほぼ皆既月食」18:10頃

ちなみに以上の写真は、ISO3200, F5.6~6.3, 1/10でJPEG撮って出し(トリミングのみ)です。もちろん三脚には乗せましたが、レリーズもリモコンもなくセルフタイマー2秒で撮ったので、やはり少しブレてしまいました。

なお、カミさんがiPhone13で撮った写真がこちらです。これも最大食の頃です。

「ほぼ皆既月食」18:00頃 by iPhone13

こちらも加工はトリミングのみですが、手持ちスマホで標準カメラアプリだと厳しいな…

まとめ

以上、昨夜の天体ショー「ほぼ皆既月食」の観望結果でした。肉眼でもはっきりと赤く染まったビーバームーンが確認できて感激しました。

古いオリンパスは高感度に強くないので、この手の撮影には不向きだと思いますが、なんとか雰囲気は記録できたかと思います。

さほど寒くなかったし、空のコンディションは良くなかったけど十分楽しめました。

なお、次に日本で見られる月食は2022年11月8日の皆既月食です。このときは19時16分から20時42分までという長い時間地球の影に完全に入ります。また見やすい時間帯なので次回も楽しみです。

11月19日の夕方は東の空に注目!ほぼ皆既月食で5月のリベンジ?

2021年11月19日の夕方に、ほぼ皆既月食に近い部分月食が見られます。

5月26日の皆既月食は天候に恵まれず残念な思いをされた方が多かったと思いますが、今回はどうでしょうか。

2021年11月19日の部分月食(ほぼ皆既月食)の見え方

今回の月食は部分月食ですが、月の直径の97.8パーセントが地球の影に入るというほぼ皆既月食に近いものになります。

今回も日本全国で月食を見ることができますが、日本のほとんどの地域では、部分月食が始まった後に月が上がってきます。(東北北部より北では月の出直後から欠け始める)

今回も最大食時の高度で17.3度(東京)と低いので、東の方角が開けた場所でないと観測は難しいと思われます。

2021年11月19日の部分月食のタイムスケジュームは次の通りです。

イベント 時刻
部分食の始まり 16時18.4分
食の最大 18時2.9分
部分食の終わり 19時47.4分

月の出は、東京が16時27.6分、札幌が16時3.0分、那覇が17時35.6分、福岡が17時10.2分です。

各地の月食予報は、国立天文台の歴計算室サイトで調べることができます。

eco.mtk.nao.ac.jp

また、以前紹介したビクセンの無料スマホアプリ「Moon Book」でも、観測位置を設定して月食の状況を時間を追って調べることができます。

www.vixen.co.jp

今回はリベンジなるか?

5月26日の皆既月食は、日本のほとんどの空が分厚い雲に覆われて、とても残念な結果でした。

気象庁の天気予報を見ると、この記事を書いている時点で筆者の住む地方の11月19日の天気は晴れ時々曇りで降水確率10%になっています。

前回のように雨は降らなくても東の空に雲があるとアウトなので、雲の切れ間からでも月が顔を出してくれるといいのですが…

なお、国立天文台では、東京の三鷹キャンパスから今回の「部分月食」をライブ配信します。

youtu.be

残念ながら天候に恵まれなかった場合はもちろんですが、夕方から夜にかけて外はかなり冷えますので、暖かい部屋の中でゆっくり天体イベントを楽しむのもいいでしょう。

まとめ

ちなみに11月の満月は「ビーバームーン」というかわいらしい名前が付けられています。これはビーバーが巣作りを始める時期にあたることから名付けられたとか。(ビーバーの捕獲シーズンだからという説もありますが…)

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また、5月の皆既月食のときは、月と地球の距離が近い、いわゆるスーパームーンでしたが、今回は逆に月と地球の距離が遠い、小さめの月になります。

小さくてもいいので、今回は天気に恵まれて、赤くほほを染めたかわいい「ビーバームーン」が見られるといいのですが。

夏休みと言えばペルセウス座流星群でしょ!そこで流星群と彗星の話を

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【2021年用に情報を更新しました】

今年もペルセウス座流星群が見頃を迎える時期になりました。今年は8月13日4時頃に極大を迎えると予想されています。

今年は月明かりの影響もなく、絶好の条件で観察できそうです。流星がより多く見られるのは11日から13日の夜にかけてと思われます。

ところで流星群が発生する原因となっているのは彗星なんですよね。

ということで今日は流星群と彗星の話を少ししたいと思います。

流星群とは何か

流星(流れ星)とは、宇宙に漂っていた塵が地球に降ってくるときに大気圏で発光する現象です。

塵が集まっている宇宙空間を地球が通過すると、流星群となって無数の塵粒が地球に降り注ぐことになります。

この塵が集まっている宇宙空間は、主に彗星が通過したあとに広がっています。

流星群の元は彗星であることから、流星群の元となった彗星のことを母天体あるいは母彗星と呼んでいます。

彗星とは何か

太陽系を構成する天体のうち、太陽に近づくと核の周囲にコマ(Coma:ガスや塵)が生じ、それが太陽風で流され尾を形成したりする小天体を彗星と呼びます。

彗星から放出された塵は、彗星が通ったあとの軌道上に取り残され、流星の元となります。

彗星の多くは惑星なとど比べると非常に細長い楕円の軌道を持っており、中には放物線あるいは双曲線軌道を描いて太陽に戻ってこない非周期彗星もあります。

彗星の起源について、公転周期が200年未満の短周期彗星については、太陽系の海王星軌道より外側の50au(astronomical unit:天文単位=太陽と地球の距離)までの間に円盤状に広がる、天体が密集した領域(エッジワース・カイパーベルト)にあるとされています。

また公転周期が200年以上の長周期彗星あるいは非周期彗星については、太陽系の外側1万auから10万auを球殻状に取り巻いていると考えられている理論上の天体群(オールトの雲:Oort cloud)あるいは太陽系外の天体と考えられています。

一般的に短周期彗星は既に何回も回帰を繰り返しているため、コマを生じる揮発成分はほとんど失われており、明るく輝く大彗星はほとんどが長周期彗星です。

日本は梅雨が長引いて残念でしたが、先月、世界各地で立派な尾が観測されたネオワイズ彗星も、放物線に近い楕円軌道を持ち、次に太陽に近づくのは5000年以上先とされています。

短周期彗星で有名なのはハレー彗星です。76年という短い周期で回帰を繰り返しているにも関わらず尾を伴った美しい姿を見せてくれます。

前回の1986年の接近では日本からの観測に適さず、全く筆者の印象に残っていませんが、次回の2061年のときには必ず…

三大流星群

毎年安定して多くの流星を観測できる流星群に、「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」があり、「三大流星群」と呼ばれています。

しぶんぎ座流星群

しぶんぎ座流星群は、毎年1月4日頃にピークを迎える流星群で、母天体はいくつかの候補が挙がっていますがいまだに確定していません。

ちなみにしぶんぎ座という星座は既に廃止されていますが、流星群としての名称はそのまま残っています。

ペルセウス座流星群

ペルセウス座流星群は、毎年8月13日頃にピークを迎える流星群で、母天体はスイフト・タットル彗星です。

スイフト・タットル彗星は1862年に発見され、発見後にペルセウス座流星群の母天体ではないかと指摘されました。彗星が流星群の母天体だとされた最初のことでした。

その後1991年と1992年のペルセウス座流星群は例年に比べて大規模なものになり、実際に1992年9月に再発見され回帰が確認されました。

ふたご座流星群

ふたご座流星群は、毎年12月20日頃にピークを迎える流星群で、母天体は小惑星ファエトンと考えられています。

小惑星ファエトンはかつては彗星でしたが、公転周期が1.43年と短く、しかも非常に太陽の近くを通過するため、ガスや塵などの揮発成分を放出しつくしてしまったものと考えられています。

まとめ

以上、我々が毎年目にしている流星群は、彗星が残していった物質の最期の姿を見ているのだ、という話でした。

筆者も夏休みに都会を離れ、澄んだ星空に流れ星を見つけて喜んだ思い出があります。

昨年に続いてコロナ禍の夏で、帰省や旅行を控えている人が多いと思いますが、ベルセウス座流星群は明るい流星もあるので、都会の空でも見ることは可能です。

もし夜空が晴れていたら、直接明るい光が目に入らない場所を探してチャレンジしてみませんか。

2021年5月26日は皆既月食で赤いスーパームーンが見られるぞ!

2021年5月26日の夜は皆既月食です。しかもこの日はスーパームーン:1年で1番地球と月の距離が近い満月で起こります。

前回、日本で観測できた皆既月食は2018年7月28日でしたので、およそ3年振りです。今年は11月19日にも、ほぼ皆既に近い部分日食が見られます。

そこで今回は皆既月食について調べてみました。

皆既月食が赤い理由

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月は太陽の光を反射して輝いていますが、月食というのは、月が地球の影に隠れて暗くなる現象です。

月全体が地球の影に隠れる現象を皆既月食といいますが、このとき、月の暗い部分は赤銅色に見えます。

これは地球の大気を通過し、屈折して月面に届く太陽光が、波長の長い赤い色をしているためです。(夕焼けと同じ理由)

月から見ると、太陽が地球に隠れる皆既日食になるわけですが、地球の輪郭が大気で赤く輝くさま(赤環食?)を、月面から見てみたいものです。

近い将来、月面に基地が常設されるようになれば、多分見ることが出来るんでしょうね!

2021年5月26日の皆既月食の見え方

今回の皆既日食は日本全土で見ることが出来ますが、月が地平線から登る前後に部分食が始まり、最大食時の高度で11度から15度とかなり低いので、南東の方角が開けた場所でないと観測は難しいと思われます。

なお、天体観測で良く使う方法に、げんこつを使った高度のはかり方があります。

www2.nhk.or.jp

高度10度というと、にぎりこぶし1つ分の高さということになりますね。

2021年6月26日の皆既月食のタイムスケジュームは次の通りです。

イベント 時刻
部分食の始まり 18時44.6分
皆既食の始まり 20時09.4分
最大食 20時18.7分
皆既食の終り 20時28.0分
部分食の終り 21時52.8分

月の出は、東京が18時37.5分、札幌が18時51.4分、那覇が19時07.3分、福岡が19時11.8分です。

各地の月食予報は、国立天文台の歴計算室サイトで調べることができます。

月食各地予報 - 国立天文台暦計算室

ビクセンのアプリ「Moon Book」

また、月食の情報を得るにはビクセンの無料スマホアプリ「Moon Book」が超便利です。

www.vixen.co.jp

現在地の月の見え方だけでなく星図もリアルタイムで表示できるので、星空観察にも必携です。

また、月食モードでは観測地点も設定することができるので、遠隔地に移動して観測する場合の計画にも利用できます。

このすばらしいアプリを無料で提供していただけるとは、さすがビクセンさん。ちなみにビクセンは天体望遠鏡や双眼鏡で有名な日本の光学機器メーカーで、筆者も子供の頃にビクセンの天体望遠鏡を持っていました。

ネットでも楽しみましょう

今年は例年より早く梅雨前線が活発化しており、既に全国的にジメジメした日が多くなっていますが、26日は晴れ間が覗くことを期待したいところです。

ただ、ネットでの実況中継(2021年5月26日18:00~)がありますので、皆既月食を肉眼で見られない場合はネットで楽しみましょう。

国立天文台三鷹キャンパスからライブ配信:

www.youtube.com

東京大木曽観測所からライブ:

www.youtube.com

ハワイ・マウナケア山頂のすばる天文台からの中継(英語):

www.youtube.com

星出宇宙飛行士が搭乗するSpaceX Crew-2の打ち上げ迫る

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いよいよ本日(2021年4月23日)、日本時間の18時49分に、JAXAの星出彰彦宇宙飛行士を含むCrew-2ミッションの4名が搭乗するSpaceX Crew Dragonが、NASAのケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定です。

本来は昨日の打ち上げが予定されていましたが、大西洋の悪天候により1日延期されています。

Crew-2ミッションクルー

今回打ち上げられるCrew-2ミッションのクルーは以下の4名です。国際パートナーのクルー2名を含むミッションは、NASAとしては初めてとなります。

シェーン・キンブロー

シェーン・キンブロー(Shane Kimbrough)さんはNASAの宇宙飛行士。Crew-2宇宙船の船長(Commander)を務める。

1967年米国テキサス州生まれ。2008年にスペースシャトル「エンデバー」に搭乗し16日間のミッションに参加。2016年にソユーズに搭乗しISSに173日間滞在。

メーガン・マッカーサー

メーガン・マッカーサー(Megan McArthur)さんはNASAの宇宙飛行士。

1971年米国ハワイ州生まれ。2009年にスペースシャトル「アトランティス」に搭乗し12日間のハッブル宇宙望遠鏡のサポートミッションに参加。ISS滞在は今回が初めて。

夫は昨年、SpaceX Crew Dragonの有人試験飛行(Demo-2)に搭乗したボブ・ベンケン。Crew-2では夫の乗った同じ機体(エンデバー)の同じ座席にパイロットとして座る。

星出彰彦

星出彰彦(ほしであきひこ)さんはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士。

1968年東京生まれ。2008年にスペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗し15日間のミッションに参加。2012年にソユーズに搭乗してISSに125日間滞在。

トマ・ペスケ

トマ・ペスケ(Thomas Pesquet)さんはESA(欧州宇宙機関)の宇宙飛行士。

1978年仏国ルーアン生まれ。2017年にソユーズに搭乗しISSに197日間滞在。

現在のISSの状況

ISSでは、昨年10月にソユーズで着任した3名:

 セルゲイ・リジコフ(Roscosmos)
 セルゲイ・クド-スべルチコフ(Roscosmos)
 キャスリーン・ルビンズ(NASA)

が、4月17日に185日間の任務を終えて地球に帰還し、第64次長期滞在(Expedition 64)が終了しました。

ISSには現在、昨年11月にSpaceX Crew-1で着任した4名:

 マイケル・ホプキンス(NASA)
 ビクター・グローバー(NASA)
 シャノン・ウォーカー(NASA)
 野口聡一(JAXA)

と、今月(4月9日)ソユーズで着任したばかりの3名:

 オレグ・ノヴィツキー(Roscosmos)
 ピョートル・ドゥブロフ(Roscosmos)
 マーク・ヴァンデ・ヘイ(NASA)

が滞在し、第65次長期滞在(Expedition 65)が開始されています。

長期滞在(Expedition)の番号 ISSに長期滞在する全てのチームには、第N次長期滞在(Expedition N)という名前が付けられています。Nは1から始まる追番で、2000年10月31日からの第1次から始まって、現在(2021年4月22日)は第65次です。番号はソユーズ宇宙船によるクルー交代のタイミングでカウントアップされています。

野口さんらCrew-1の4名は、Crew-2の4名と交代で4月28日に地球に帰還する予定なので、野口さんと星出さんの滞在期間は4日ほどラップします。

ISSに2人の日本人宇宙飛行士が同時に滞在するのは、2010年の野口さんと山崎直子さんに次いで2回目となります。

星出さんは日本人として2人目のISS船長に

星出さんはISS滞在中に、日本人としては第39次の若田光一宇宙飛行士に次いで二人目となる、ISSの船長(Commander)を務めることが予定されています。

現在、ISS第65次長期滞在の船長は、Crew-1のシャノン・ウォーカー宇宙飛行士が務めています。彼女は第64次長期滞在のセルゲイ・リジコフ宇宙飛行士の後を継いで船長になったばかりですが、4月末に予定されている地球帰還時には星出さんに引き継ぐことになります。

ISS船長は、軌道上でのISSの運用全体について、滞在しているクルーを統括し、クルーとISSの安全に責任を持つ重要な役割。

そのため、クルー全体の作業予定と結果を含め、ISS 全体の状況を正確に把握し、地上の管制局と緊密な連絡と調整を行います。

また、クルー全員の健康、モチベーション、チームワークや良好なコミュニケーションの維持なども船長の重要な仕事です。

まとめ

今回のCrew-2で使用するSpaceX Crew Dragon宇宙船は、Demo-2で使われた機体の再利用であり、打ち上げに使うSpaceX Falconロケットも、Crew-1で使われた機体を再利用します。

再利用技術は宇宙探査コスト削減のキーであり、その意味でも注目されます。

打ち上げの様子は、NASAやJAXAのYoutubeチャンネルで生中継を見ることができます。

予定時刻は日本時間の19時11分という見やすい時間なので、是非スマホやパソコンで迫力ある打ち上げをリアルタイムで見ましょう。

youtu.be

youtu.be

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sora

今夜はダブルモニターでプロ野球とNASA-TVを並べて鑑賞だ!


それにしても、密閉された特殊な空間で、長期にわたり国籍や文化の違うメンバーを統括するISS船長の役割は、とんでもなくやっかいな仕事に思えますね。

着任したら、地上から星出船長を応援したいと思います。

次のソユーズにも米国宇宙飛行士の搭乗が決定!米露宇宙協力は維持?

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米国NASAは3月10日、ISS滞在者のローテーションに向けて4月に打ち上げられるロシアのソユーズに、NASAの宇宙飛行士を搭乗させる契約をAXIOM SPACEと締結したことを発表しました。

www.nasa.gov

NASAはスペースシャトルの運用終了以降の9年間、ISSとの往復のためにソユーズの席を契約していましたが、昨年SpaceXによる有人商用宇宙船の運用が始まり、NASAが契約していたソユーズの席の利用は、ケイト・ルービンス宇宙飛行士が最後とされていました。

今回の契約は金銭を伴うものではなく、代わりに将来のNASAの商用宇宙船の座席をロシアに提供するというもののようです。これにより、乗務員や宇宙船・宇宙ステーションに緊急事態が発生した場合のバックアップ機能を確保できることになります。

現在、ISS(国際宇宙ステーション)には、ロシアのソユーズで到着したセルゲイ・リジコフ(露)、セルゲイ・クド・スベルチコフ(露)、ケイト・ルービンス(米)の3名と、SpaceXのクルードラゴンで到着したマイケル・ホプキンス(米)、ビクター・クローバー(米)、野口聡一(日)、シャノン・ウォーカー(米)の4名が滞在しています。

契約はAXIOM SPACEと締結

NASAは、低軌道での宇宙活動に関する運用を民間会社に外注していく計画で、今回の契約はテキサス州に本社があるAXIOM SPACEとの締結だということです。

AXIOM SPACEは、国際宇宙ステーションに関するミッションプロバイダーとしてSpaceXやBoeingと協力し、ミッション計画・運用・管理、ハードウェア開発・認証、乗組員の訓練などを担っていきます。

来年予定されているトム・クルーズのISSでの撮影ミッションも、多分AXIOM SPACEが仕切ることになるんですね。

また、AXIOM SPACEは2024年を目標にISSに接続する新たな居住モジュールを打ち上げ、いずれはISSから切り離して独自の商用宇宙ステーションとして運用させる計画のようです。

打ち上げ1ヶ月前というギリギリのタイミング

あらためてソユーズに米国宇宙飛行士の席を確保する契約については、もちろん以前から準備されていたことだと思いますが、搭乗の1ヶ月前というタイミングでの発表となりました。

現在のISS滞在者のうち、ソユーズ組の3名は4月に、クルードラゴン組の4名は5月上旬までに帰還する予定です。交換要員は、4月9日にソユーズ、4月22日までにクルードラゴン(星出彰彦さん搭乗)がそれぞれ打ち上げられる予定です。

元々3月下旬の予定だったクルードラゴンの打ち上げが更に延期になったりすれば、米国の宇宙飛行士がISSに不在となる可能性もあります。

筆者は宇宙開発における米国とロシアの協力関係は続けて欲しいと考えているので、このタイミングでの発表は、政権交代(NASAの長官も辞任)の影響もあるのかも知れませんが、ちょっと気になりました。

ロシアに接近する中国

一方で、ロシアと中国が協力して、月に科学研究ステーションを構築する計画を発表したというニュースがありました。

news.yahoo.com

月の科学研究ステーションは、月面基地と軌道上の宇宙ステーションの複合体らしく、米国のアルテミス計画と正面からぶつかるプロジェクトになりそうです。

ロシアは米国主導のアルテミス計画にまだ合意していません。明確な拒否もしていないようですが、やがてISSでの米露協力関係が終了すると、宇宙空間における米国対中露の冷戦が加速しそうな雰囲気が…

日本はアルテミス計画への協力を約束していますが、科学技術の発展のためには複数のアプローチや開発競争も必要です。

現在米国と対立している中国を孤立させることが地球の将来にとって望ましいとも思えないので、中露協力関係の進展は悪いニュースではないのかも知れません。

いずれにしろ宇宙開発に於いても、健全な形での開発競争を期待したいと思います。

潜在的に危険な小惑星「アポフィス」のこと

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2004年の発見当時、2029年に地球に衝突する可能性が示唆された小惑星99942「アポフィス(Apophis)」が、静かに地球のそばを通り過ぎようとしています。

今回の最接近は、地球と月の距離の約44倍離れたところを通過しますが、2029年には地球と月の距離の10分の1の距離まで迫ってきます。

計算ではその後の2036年の最接近まで、地球との衝突の可能性はないとされていますが、2068年の最接近時には、僅かながら地球との衝突の可能性が残っています。

より精密な予測を行うべく、世界中の天文学者は、今回と2029年の最接近時の観測によりより多くの情報を収集しようとしています。


***

小惑星アポフィスは、サイズが約340mと、東京タワーとほぼ同じくらいの大きさの地球近傍天体(NEO:Near Earth Object)です。

地球近傍天体のなかでも、地球に衝突する可能性が高く、衝突時の影響が大きいとされる「潜在的に危険な小惑星(PHA:Potentially Hazardous Asteroid)」に分類されています。

また軌道要素の分類では、地球より小さな軌道長半径を持つ「アテン群」に分類されていますが、2029年の地球との大接近により軌道が変化し、地球より大きな軌道長半径を持つ「アポロ群」に変わると予想されています。

地球近傍天体が地球に衝突する確率と衝突した際の予測被害状況をレベル0からレベル10までで表す「トリノスケール」というのがありますが、アポフィスはトリノスケールのレベル4が適用されたことのある天体として知られています。

ちなみにレベル4の定義は、

Assessing Asteroid And Comet Impact Hazard Predictions In The 21st Century
(Level 4)

A close encounter, meriting attention by astronomers. Current calculations give a 1% or greater chance of collision capable of regional devastation. Most likely, new telescopic observations will lead to re-assignment to Level 0. Attention by public and by public officials is merited if the encounter is less than a decade away.

(天文学者の注目に値する接近遭遇。局所的な破壊をもたらす衝突の可能性が最新の計算で1%以上。新たに望遠鏡による観測をすることでレベル0に変更される可能性が高い。遭遇が10年以内なら、国や公的機関による注意に値する。)
Torino Impact Hazard Scale/NASA


となっており、当時は衝突の確率1.6%と計算されていたようです。

なお現時点でトリノスケールのレベル1以上の天体はありません。


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8年後の2029年4月13日のアポフィス大接近時には肉眼で見えるようになるようで、大きな話題になりそうです。

残念ながら日本からは見えないと思われますが、オーストラリア上空から西に進み、インド洋、アフリカの赤道を通過して、大西洋から米国上空を抜けていくものと思われます。

最接近時の地球からの距離が31,643kmと予想されており、人工衛星の静止軌道(高度35,786km)の内側に入り込んでくることになります。

NASAが作成したアニメーションで、2029年4月13日のアポフィスの軌道を確認できます。

youtu.be

青い点が人工衛星を表していますが、ぶつかりそうでヒヤヒヤしますね。

なんか今からドキドキして来ました…


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以上、小惑星アポフィスの話でした。

今の所100年先まで、地球に衝突する可能性が高い天体は発見されていないので、心配する必要はなさそうです。

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sora

まだ発見されていないだけという話もありますが、心配しても仕方ありませんね…


(参考) In Depth | Apophis – NASA Solar System Exploration

パーセベランス・ローバーの火星への降下と着陸の映像は必見!

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(いつも記事は朝の公開ですが、今回は臨時投稿です)

先週金曜日のNASAの火星探査ローバー「パーセベランス」の火星着陸成功にはシビレました。

NASA TVの生中継では、コントロールセンターの映像と音声だけでしたが、「パーセベランス」搭載カメラの映像と中継の音声をリンクさせたビデオが、今週NASAから公開されています。

一部、テレビのニュースでも紹介されましたが、この歴史的とも言える映像はすごいです。

もしご覧になっていない方がいらしたら、ぜひフルで見て下さい。

youtu.be

もちろん音声は英語ですが、英語字幕も付いていて分かりやすいです。

以下、どんな感じで進行していたのか書き出してみました。

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姿勢を正しくする操作にはいる。
パラシュートの展開準備と、レーダーが地上を確認しやすくなるよう回転するために重りを捨てる。

パラシュートを展開したことを確認。{拍手}
速度が大きく低下。
秒速450メートル、火星の地表から約12キロメートル。

音速以下の速度に落ち、ヒートシールドを分離。
これにより、レーダーとカメラの両方で、初めての地表をみることができる。
秒速145メートル、火星の地表から約10キロメートル。

地表をロック。降下中。{拍手}
秒速100メートル、火星の地表から6.6キロメートル。

いよいよ地形相対ナビゲーション(Terrain Relative Navigation)の初期化に続いて着陸エンジンの点火に進む。
秒速90メートル、高度は4.2キロメートル。

着陸映像システム(Lander Vision System)の有効なソリューションの生成と、地形相対ナビゲーションを確認。

着陸エンジン点火。{拍手}

バックシェルを分離したことを確認。
秒速83メートル、火星の地表から約2.6キロメートル。

迂回操作中。
秒速約75メートル、火星の地表から約1キロメートル。

地形相対ナビゲーション完了。
秒速約30メートル、火星の地表から約300メートル。

スカイクレーン操作開始。
地表まで約20メートル。
MROからの信号を受信。

タンゴ・デルタ!着陸確認!{大歓声}
古代生命の証拠探査への準備完了!

以上