一昨日のことになりますが、藤井聡太棋聖が王位戦を征して二冠となり、八段昇段を決めました。
筆者は自分で将棋は指さないけど、何故か見るのは好きなんです。
ちょっと違うような気もしますが、スポーツ観戦と同じような感覚と言えばいいでしょうか…
ABEMAの将棋チャンネルと「AI SHOGI」
筆者はいつもABEMAの将棋チャンネルで中継を楽しんでいます。プロの将棋は1手打つのに1時間以上考えることもあるのですが、その間をつなぐプロ棋士の解説が意外と楽しいんですね。
ちなみに、ABEMA(旧AbemaTV)は多くの専門チャンネルを並行して配信するインターネットテレビ局です。全て無料で、パソコン、スマートフォン、スマートテレビなどで視聴することができます。
ABEMAの将棋チャンネルの実況では、専用に開発した「AI SHOGI」システムが形勢判断をリアルタイムにパーセントで表示するので、状況が客観的に判断できて分かりやすいです。
また、次の指し手についても、最善手から第五候補まで、候補が5つ示され、それぞれについて採用した場合の形勢の変化までパーセントで表示されます。
例えば、先手70%優勢の場面で、次の先手の指し手が、AIの判断した最善手だと形勢は変わらないけど、二番目の候補だと形勢がマイナス25%になると判断されているとします。
万一最善手以外の手を指してしまうと、あっという間に形勢が逆転してしまう危険な場面で、番組の視聴者はハラハラして棋士の次の手を待ちます。
じっくり考えた末に棋士が打った手が、AIの判断した最善手と一致したときに、ある種の感動を覚えてしまいます。
王位戦第4局の「封じ手」
王位戦は1局が2日間に亘って行われるため、初日の17時を過ぎた後の手は「封じ手」として別室で紙に書いて封じられ、翌日の再開時に初めて明かされます。
今回の第4局の「封じ手」は後手の藤井棋聖の手番に訪れました。
そして実況でAIが「8七同飛成」を最善手と表示したとき、解説の棋士はありえないと、とても驚いていました。
というのも、「8七同飛成」は、自分の飛車と相手の銀を交換する形になり、一見するとかなり損な手なので、相当先を読んで有利を確信しないと指せないからです。
番組では「8七同飛成」が最善であることを確信できるまで深く分析できずに終わりましたが、藤井棋聖は「封じ手」を書き込むまで、17時を19分過ぎるところまで長考したため、「8七同飛成」が有利な手であることに気が付いたのではないかと言われました。
そして二日目の朝、「封じ手」の内容が期待通りの「8七同飛成」であることが明かされると、改めて驚きが広がりました。
この時点ではAIの形勢判断はまだ50%の互角でしたが、この攻めの一手で崩した先手の左側が最後に効いて来ることになりました。
まとめ
AIは短い時間で何億もの手を読んでしまいますが、藤井聡太棋士は自分の頭の中だけでそれを行い、時にはAIより早く最善手に辿り着くこともありました。
AI将棋の申し子とも言われた藤井聡太棋士ですが、既にAIを超えるような存在になりつつあります。
AI時代だからこそ素人にも楽しめるようになってきたプロ将棋の世界。
今後も藤井聡太二冠とともに注目して行きたいと思います。