H-IIAロケット42号機による UAE火星探査機「HOPE」の打上げ延期について
いよいよ今週水曜日(2020年7月15日)に迫った、種子島宇宙センターからのアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE」の打上げ。
天気が心配ですが、現時点での15日午前6時の予報は、曇りで降水確率は40%、西の風、風速8m/sとなっています。
ところで、これまで日本ではあまり知られていないUAEの宇宙開発について、興味があったのでちょっと調べてみました。
これまでにUAEが打ち上げた人工衛星
UAEのムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター(MBRSC:Mohammed Bin Rashid Space Centre)は、2006年に先端科学技術首長国連邦機関(EIAST:Emirates Institution for Advanced Science and Technology)として設立され、2015年に今の名称に変更されたドバイの宇宙開発機関です。
MBRSC(EIAST)は、これまでに4つの人工衛星を打ち上げています。
DubaiSat-1
DubaiSat-1は、UAEの最初の地球観測衛星として、2009年に打ち上げられました。
衛星本体は韓国の衛星製造企業Satrec Initiativeと共同で開発、製造され、カザフスタンのバイコヌール空軍基地からドニエプルロケットにより打ち上げられました。
DubaiSat-2
UAEの2番目の地球観測衛星DubaiSat-2は、2013年に打ち上げられました。
1に続いて韓国のSatrec Initiativeと共同で開発、製造され、ロシアのヤースヌイ宇宙基地からドニエプルロケットにより打ち上げられました。
Nayif-1
Nayif-1は教育とアマチュア無線通信を目的としたUAE初のナノ衛星(超小型衛星)で、2017年に打ち上げられました。
衛星本体はMBRSCとシャルジャアメリカン大学の共同で開発、製造され、インドのサティシュ・ダワン宇宙センターからPSLV-C37ロケットにより打ち上げられました。
KhalidaSat
UAEの3番目の地球観測衛星KhalifaSatは、2018年に打ち上げられました。
当プロジェクトは当初は韓国のSatrec Initiativeと共同で進められましたが、その後プロジェクトはMBRSCに移され、日本の種子島宇宙センターからH-IIAロケットにより打ち上げられました。
今回UAEが打ち上げる火星探査機「Hope」
「Emilates Mars Mission」と名付けられたUAE初の惑星間ミッションを担う火星探査機「Hope」は、2020年7月15日5:51(JST)に種子島宇宙センターからH-IIAロケットにより打ち上げられます。
打ち上げの様子は明日の朝、7月15日水曜日午前5:30からYouTubeでライブ中継されます。
約200日後に火星軌道に乗ると、火星の大気について調査しデータを収集し地球に送信します。
UAEはこの計画により、人類の知識を増やすことに貢献するとともに、経済成長の新たな原動力として宇宙技術を確立し、航空宇宙分野でトップの国になることを目指しています。
UAEの火星移住計画「MARS2117」
UAEは2017年に、1世紀をかけて火星にコロニーを構築して移住することを目指す計画「MARS2117」を発表しました。今回の火星探査機の打上げはそのスタートでもあります。
Mars OneやSpace Xは2020年代、NASAも2030年代を目標に火星に人類を送り込もうとしていることに比べると、かなり長期的な戦略に見えます。
ですが、都市を構築しての移住となると、そんなに簡単にいくとは思えません。
アポロ11号が月に着陸してからもう半世紀が過ぎていることを考えると、100年というのは、そんなに気の長い話ではないのかも知れません。
古代からの長い歴史を持つ民族だけあって、100年後を見据え、世代を超えた戦略はさすがですね。
日本も同様に長い歴史を持っていますが、長期戦略は苦手なようで…
まとめ
アラブ首長国連邦は2021年12月2日に独立50周年を迎えます。
今回の火星探査機プロジェクトは、独立50周年に合わせて計画されたものです。
UAEのみならず、アラブ全体の期待を背負ったプロジェクトと言えるので、打上げの責任は重大ですね。 成功を信じましょう!