いよいよ2020年12月6日(日)の未明に、「はやぶさ2」が地球に戻ってきます。
日本中の人々が感動した初代「はやぶさ」の帰還から10年、いよいよ二代目帰還のときが迫ってきました。
但し今回の帰還は初代とは異なり、小惑星のサンプルを収納したカプセルだけが大気圏に突入します。
JAXAでは、12月4日にカプセル回収前の記者会見、12月5日にカプセル分離、そして12月6日にカプセル着陸、カプセル回収後記者会見と、YouTubeで実況中継を配信する予定です。

日本にとって今年最大の宇宙イベントを、見逃さないようにしましょう!
初代「はやぶさ」のおさらい
小惑星探査機「はやぶさ」は2003年5月9日に打ち上げられ、2005年11月に小惑星「イトカワ」に着陸し、表面物質のサンプルを収めたカプセルを持って2010年6月13日に地球へ帰還しました。
月以外の天体からのサンプルリターンは世界初の快挙でしたが、その数々の成果にも増して、7年間、60億キロにも及ぶ苦難の連続の旅のドラマが多くの人の心を打ち、後に映画も作成されました。
ボロボロになって地球に帰還したはやぶさの本体は、カプセルを切り離した後、大気圏で燃え尽きました。オーストラリアのウーメラ砂漠に落下する様子を捉えた映像は、涙なくしては見られませんでしたね。
「はやぶさ2」のミッション
小惑星探査機「はやぶさ」の後継機「はやぶさ2」の目的は、小惑星「リュウグウ(Ryugu)」の探査と、収集したサンプルを持ち帰ることです。
「はやぶさ2」は2014年12月3日に打ち上げられ、2018年6月に小惑星に到着。小型の着陸機やローバによる観測、人工クレータの作成や2回の着陸による小惑星表面及び小惑星内部(史上初!)の物質のサンプル採集などを行い、2019年11月に小惑星を出発しました。
初代「はやぶさ」に比べると安定した飛行と運用でミッションが遂行され、かなり余裕のある状態で地球に戻ってきました。
「はやぶさ2」のカプセルは、地球から22万キロ(月までの距離の半分くらい)の地点で本体から切り離され、大気圏に突入して初代と同じオーストラリアのウーメラ砂漠に帰還します。
「はやぶさ2」のカプセル回収体制
「はやぶさ2」のカプセルの落下地点を特定するため、何重もの追跡方法が準備されています。
①ビーコン受信
着地予想エリアの周囲にアンテナを5局設置し、カプセルが発信する電波(ビーコン)を受信して大まかな位置を特定し、ビーコン受信機を備えたヘリコプターで捜索します。
②マリンレーダー
何らかのトラブルでビーコンが発信されないことを想定して、バックアップの探索手段としてマリンレーダーも4局配置しています。
アンテナから電波を発射し、カプセルのパラシュートによる反射波をとらえることにより位置を特定します。
③光学観測
何らかのトラブルでパラシュートが開かない場合は、光学観測に頼ることになります。
カプセルが大気圏に突入するときの発光を、複数の地点から光学観測して軌道を計算し、落下地点を特定します。
但し曇っていると地上から観測できない可能性があるので、航空機による観測も行います。
④写真解析
それでも見つからない場合、最終的にはドローンによる探索を実施します。
プログラムにより落下予想地点をくまなく撮影し、画像解析により落下地点を探し出します。
そして「はやぶさ2」は次の旅へ
一方、カプセルを切り離した時点でミッションを完了した「はやぶさ2」本体は、大気圏突入コースを離れ、新たに追加されたミッションを遂行するため、再び宇宙に飛び立つ予定です。
追加されたミッションは「拡張ミッション」と呼ばれ、新たな目的地は小惑星「1998 KY26」に決まりました。
小惑星「1998 KY26」は直径わずか30mしかない微小天体で、自転時間が約10分という超高速自転天体でもあります。
また、このミッションは10年を超える長期間のもので、その間様々な試みを行いながら旅を続けることになります。

がんばれ、はやぶさ2!