三谷幸喜監督の新作映画「記憶にございません!」を見てきました。
筆者は三谷幸喜監督作品のベストは「ステキな金縛り」だと今でも思っていますが、今回の作品はそれに迫る面白さで楽しませてもらいました。
大河ドラマの「真田丸」も良かったですが、やはり筆者は三谷コメディーが好きです。
「記憶にございません!」は「ステキな金縛り」のように抱腹絶倒するほどのシーンはありませんでしたが、全編を通してクスクス笑いがこみ上げてくるようなシーンの連続で、終盤では何故か笑いながら涙が止まらなくなるという、「ステキな金縛り」とは別の不思議な状況になりました。
今回の作品では、中井貴一さん、佐藤浩市さんといった三谷作品の常連の顔ぶれに、ディーン・フジオカさんという三谷コメディーには珍しい王子様因子をぶちこんできました。
ディーン・フジオカさんは総理を支えるスマートな秘書官役として隙のない立ち振る舞いで、記憶を失って頼りなくなってしまった総理大臣を強引に引っ張っていくストーリー上大事な役なので、終始マジメに演じていた感じでしたが、三谷監督としてはもう少しイジリたかったのではないでしょうか。
ティーン・フジオカファンの皆さんには怒られるかも知れませんが、中井貴一さん、佐藤浩市さんとは違った味があるので、三谷監督にコミカルな面をもっと引き出してもらえれば、役者として一皮むけるのではないかと感じました。
それから、政界を牛耳り、総理の政敵になる官房長官役の草刈正雄さん。今ではNHK朝ドラ「なつぞら」の泰樹じっちゃん役の印象が強いですが、昨年も「真田丸」の真田昌幸役で完全に主役を食っていましたね。本作では迫力のある悪徳政治家役を完璧にこなしていましたが、最後の方はバタバタしていて、敵役としての結末がなんだか食い足りなく感じました。
ですが、実は三谷さんの公式ブログで明かされていたのですが、草刈さん演じる官房長官にまつわるもうひとつのエンディングがあったらしいです。残念ながら映画全体のリズムの観点からカットされてしまったようですが、そっちも見てみたかったなー。DVD化されるときは特典映像として見られることを期待します。