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次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに効果ない?まだ結論は早い!

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経済産業省とNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)が実施している「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価」の中間報告第二弾が2020年5月29日に公表されましたが、その中で触れられている次亜塩素酸水についての内容が少し波紋を呼んでいるようです。

次亜塩素酸水は新型コロナウイルスに効果ないのか?

次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに有効かどうかは、まだ検証中の段階です。

ただ、注目されているのは、5月29日に合わせて公表された『「次亜塩素酸水 」 等の 販売実態 について (ファクトシート)』という資料ではないでしょうか。

現時点において「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていない、ということを強調した上で、次亜塩素酸水を謳った製品や使い方に対する注意書きが並んでいます。

この発表はマスコミでも一斉に報道されたこともあり、次亜塩素酸水は効果なしと決まったかのような誤解を生み、既に市場で広まっている次亜塩素酸水の利用者などは動揺し、戸惑っているのではないでしょうか。

但し、この資料の内容は以前から言われていたことでもあり、何ら新しいことは書いてありません。検証結果が確定していない段階で、何故このような資料を出す必要があったのか少し疑問です。

かく言う筆者も自宅で次亜塩素酸水を毎日利用していますので、他人事ではありません。

今回の有効性評価に関して、記事を書いている時点(2020年5月31日)で公開されているのは、第1回から第4回までの検証委員会の資料です。(最後にリンクを載せておきます)

そこで、NITEの評価状況を理解するため、最初からの経過を追ってNITEが公開している資料に目を通してみました。主に次亜塩素酸水に注目してまとめてみたいと思います。

第1回委員会における次亜塩素酸水に関する議論

初回は4月15日に行われ、主に検証対象となる物資の選定と検証試験方法についての議論がなされました。

試験対象としては、界面活性剤8種類と、電気分解法で生成した次亜塩素酸水4種類が選定されました。

検証方法としては、新型コロナウイルスを使った検証を開始するには時間が必要ということで、まずは代替ウイルスとしてインフルエンザウイルスを使った検証を行うこととなりました。

第2回委員会における次亜塩素酸水に関する議論

代替(インフルエンザ)ウイルスを使った検証結果が一通り出揃った4月30日に、第2回目の委員会が開催されました。

検証試験は4つの試験機関で分担して行われましたが、次亜塩素酸水についてはそのなかの1機関だけが検証しています。(具体的な試験機関名は公表されていません)

試験ではインフルエンザウイルスに対して、電気分解法で生成した4種類の次亜塩素酸水を、それぞれ1分間と5分間作用させた後の感染価(感染力)を評価しており、いずれも99.99%以上のウイルス感染価の減少が見られたとされています。

この結果、効果(99.99%以上の感染価減少)が確認できた界面活性剤4種類、次亜塩素酸4種類に対して、優先的に新型コロナウイルスによる検証試験を実施することとしています。

また、文献調査の結果等から新たに界面活性剤3種類と過炭酸ナトリウムを検証対象に追加することになりました。この時点では次亜塩素酸水についての追加はありませんが、その必要性を事務局で検討することになっています。

なお新型コロナウイルスによる検証試験は、国立感染症研究所及び北里大学大村智記念研究室(以下、北里大学と表記させて頂きます)が並行して実施することになりました。

第3回委員会における次亜塩素酸水に関する議論

5月21日に開かれた委員会において、新型コロナウイルスによる検証試験の中間報告が行われました。

この時点では国立感染症研究所から界面活性剤5種類、北里大学から界面活性剤11種類(一部未実施)の結果が報告されました。

両試験機関ともに効果ありの結果が出た4種類の界面活性剤については、委員会として効果ありの判定を下し、その物質が含まれる製品リストとともに公表されました。

この時点では両機関とも次亜塩素酸水の試験の結果はまだ出ていないのですが、電気分解法以外の方法で生成した次亜塩素酸水5種類を検証対象に加え、合計9種類の次亜塩素酸水について検証することとなりました。

第4回委員会における次亜塩素酸水に関する議論

前回から一週間後の5月28日に開かれた委員会で、二回目の中間報告が行われました。

新たに界面活性剤2種類について両機関とも効果ありの結果が揃ったため、委員会として効果ありの判定を下し、製品リストに追加しました。

次亜塩素酸水については、検証対象の9種類の内、国立感染症研究所で3種類、北里大学で2種類の結果が出ましたが、効果ありとなったのはその内1種類だけで、しかも両機関の結果が割れるという結果になったため、今回の委員会では判断に至らず、引き続き検証試験を実施することとされました。

ここまでの次亜塩素酸水の評価状況まとめ

ここまでの試験結果を次亜塩素酸水について簡単にまとめると、次の表のようになると思います。(全体を把握しやすくするために結果を単純化しています)

検証対象の次亜塩素酸水 代替ウイルス
試験結果
国立感染症研究所
試験結果
北里大学
試験結果
強酸性電解水(食塩)
弱酸性電解水(食塩)
微酸性電解水(塩酸)
微酸性電解水(塩酸+食塩)
二液混合(次亜塩素酸ナトリウム+塩酸)
二液混合(次亜塩素酸ナトリウム+炭酸)
二液混合(次亜塩素酸ナトリウム+酢酸)
イオン交換(次亜塩素酸ナトリウム)
粉末・錠剤(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)

(◎:感染価減少率99.99%以上があったもの、☓:それ以外、未:これから、-:実施せず)

次亜塩素酸水の新型コロナウイルス試験については、両試験機関合わせて、まだ全体の28%程度しか結果が出ていません。しかも両機関の結果が合致しているものがひとつもない状況であることが分かりました。

残念ながら効果ありの結果がまだ少ないようですが、これまで評価した電解水の有効塩素濃度は19~50ppmと薄いものです。

これから評価される電解法以外で生成した次亜塩素酸水は、計画では有効塩素濃度100~300ppmと比較的高濃度なので、そちらの結果に期待したいところです。

(参考リンク)
・第1回委員会資料
・第1回委員会まとめ
・第2回委員会資料
・第3回委員会資料
・第4回委員会資料