最近芸能界で、誰もが羨むような立場にあるような人が、自らの命を絶つという例が頻発しています。
このような話を聞く度に、人の幸福はいかに相対的なものであるかを痛感します。
傍から見れば幸福の絶頂にあるような環境にいても、本人にとってはその環境をベースに幸不幸を感じてしまう…
もちろんそこに至った経緯や気持ちは本人にしか分かりませんが、その瞬間は、本人にはその解決方法以外考えられなくなってしまうのでしょうか。
しかし、少し視点を変え、客観的に自分の置かれている状態を確認できていたら、結果は違っていたのではないかと思うと、残念でなりません。
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自殺防止の取組としては、「いのちの電話」「こころの健康電話相談」「よりそいホットライン」といった電話による相談窓口や、「よりそいチャット」「こころのホットチャット」といったSNSを使った相談窓口がいくつも開設されています。
実際にこういった窓口に相談することで、多くの命が救われていると思いますが、相手が人間だけに、現実に相談することにはハードルがあるのかも知れません。
そこで、人間相手ではなく、AIが相手なら、例え有名人であっても、相談のハードルが下がるのではないかとふと思いました。
実際にAI技術を自殺防止に利用しようとしている例はいくつかあるようですが、多くはSNSの書き込みをAIを使って分析したり、あるいはカウンセリングのツールとしてAIを利用するといったもののようです。
しかし例えば、siri、Googleアシスタント、Alexaのような音声アシスタントにカウンセリング能力を持たせれば、気軽に相談できる相手として役立つのではないでしょうか。
新型コロナ対策でアップルとグーグルが共同で接触確認機能を開発したように、世界的な課題である自殺防止についても、GAFAなどが力を合わせてプラットフォーム構築に乗り出してくれることを期待してしまいます。
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もちろん、相談すれば解決するような単純なものではないと思いますが、冷静かつ客観的に自分の立場を確認するだけでも、違う解決策が必ず見えてくると思います。
日本では毎年2万人以上が自殺しており、今年も8月までに既に1.3万人を越えています。
一時は年間3万人を越えていたので、減少傾向にはありますが、それでも一日平均55人が自らの命を絶っており、その何倍もの未遂があると言われています。
コロナ禍に加え、厭世的な風潮が世の中に蔓延してしまうことがとても心配です。
自殺者数は、交通事故による死者数や新型コロナによる死者数とはひと桁違うのですから、日本政府もコロナ禍対策と同時に自殺防止対策を加速して欲しいと思います。