sora’s 早起きノート

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宇宙空間に持ち込まれる米中対立と宇宙ステーションの今後について

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米国NASAのジム・ブライデンスタイン管理官は先日、国際宇宙ステーション(ISS)が寿命を迎えた後、地球の低軌道上での米国の影響力を維持することの重要性について議会で述べました

これは中国の宇宙ステーション計画に対する米国の危機感の現れでもあります。

国際宇宙ステーション(ISS)の今後

国際宇宙ステーション(ISS)は2000年に運用が開始されて以来、既に20年が経過していますが、2024年までは運用を継続することになっています。

その後について、ロシアはISSからの撤退を示唆していますが、米国はまだはっきり決まっていません。

NASAは既にISSの商用利用に門戸を開いており、今後は宇宙ステーションの運用を商用ベースに移行し、低地球軌道での有人活動を永続的に維持していくことを目指す意向のようです。

このためNASAは、低地球軌道における商用開発を支援するため、2021年度予算に1億5千万ドル(150億円)を要求しています。

中国の宇宙開発

1970年2月11日、日本は人工衛星「おおすみ」の打上げに成功し、ソ連、米国、フランスに次いで世界で4番目の人工衛星打上げ国となりました。

そのわずか2ヶ月後の4月24日、中国は人工衛星「東方紅1号」の打上げに成功し、5番目の人工衛星打上げ国となりました。

つまり宇宙開発へのデビューと言う意味では、日本と中国は同期みたいなものです。

しかしその後、中国は軍事力強化と表裏一体で宇宙開発を加速し、ついに2003年には「神舟5号」により、ソ連、米国に次いで3番目に宇宙に人間を送り込んだ国になりました。

また、2013年12月14日には、嫦娥3号で月面への軟着陸に成功した3番目の国になっています。

このように駆け足で中国が宇宙開発を発展させられたのは、旧ソ連の崩壊により、大量の技術者とともに先端技術を獲得できたことが要因だと言われています。

中国は国際的な商業衛星の打上げマーケットにも参入し、米国がスペースシャトル事故で宇宙開発が停滞している時期には、米国の民間人工衛星の打上げも行っています。

そして2019年には、ロケット打上げ数で米国、ロシアを抜いて、ついに中国が世界一となっています。

宇宙開発に於ける米中対立

1998年に米国議会で中国への衛星技術の流出が問題化し、輸出規制が強化された結果、米国製部品を含む人工衛星は中国のロケットでは打ち上げられなくなりました。

2000年に運用を開始した国際宇宙ステーションは、米国・ロシアを中心に15ヶ国と5つの宇宙機関が参加して開発・運用されていますが、中国は参加していません。

2011年には、米国議会で米中の宇宙事業提携を制限する法案(米共和党のFrank Wolf下院議員が提出したことから「The Wolf Amendment(ウルフ修正条項)」と呼ばれている)が可決され、NASAは中国関連組織との協力が事実上できなくなっています。

このように宇宙開発に於いては、最近の米中対立を先取りしたような米中対立構造が既に構築されているのです。

中国の宇宙ステーション計画

1999年9月29日、中国は最初の宇宙ステーションの試験機である天宮1号を打ち上げました。

そして有人宇宙船の神舟9号、10号では、天宮とドッキングした後、宇宙飛行士が天宮に移動し、実験が行われています。

2016年には天宮2号が打ち上げられ、1ヶ月の有人運用が行われました。

試験機である天宮1号、2号は既に使命を終え落下していますが、実用有人宇宙ステーションは2022年頃の完成を目指しています。

中国は既に中国宇宙ステーション(China Space Station:CSS)を利用した実験計画を各国から募集しており、日本の東京大学を含めた17ヶ国9件の宇宙実験の受け入れを発表しています。

まとめ

中国の宇宙ステーションと言うと、ハリウッド映画の「Gravity(邦題:ゼロ・グラビティ)」を思い出します。

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2013年に公開されたサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニー主演のこの映画は、スペースシャトルでハッブル宇宙望遠鏡の修復作業中に事故に遭遇する話ですが、最後のクライマックスで中国の宇宙ステーション天宮と宇宙船の神舟が出てきます。

ロシアが悪で、中国が善のような流れになっていて中国で大ヒットしたらしいですが、色々とウラがありそうな映画でした。面白かったけど…

この映画のように危険と隣り合わせの宇宙空間に於いては、政治的な思惑とは別の次元で、国を越えお互いに助け合い協力し合える関係を構築する必要があると思います。

限定的ではありますが、2019年1月に、史上初めて月の裏側への着陸に成功した中国の月探査機「嫦娥4号」では、米国を含む国際的な技術協力が展開されました。

現在の政治状況では米中協力の進展はなかなか難しそうですが、その意味では、大学の研究活動という次元で日本が中国との協力体制を構築する意味はあるのかも知れません。